歯を失うことで体にも影響が!

「80歳で20本歯を残そう」健康は元気な歯から!

何でもかみ、おいしく食べられることは、いつまでも若々しくいるために欠かせない条件です。

しっかり噛んで健康に!

丈夫なあごをつくる
子供の頃から固い物をよく噛んで食べると、あごの骨の発達を促します。口のまわりの筋肉が発達していないと歯並びに悪影響を与え、不健康になりがちです。

脳を活性化
よく噛むことで、脳内の血流が増え、脳神経活動が活発になり、脳の運動系統・感覚系統などが活性化されます。

消化・吸収を促す
よく噛むことで、唾液の中からアミラーゼという消化酵素が分泌され、胃腸の消化・吸収がより促されます。食べ物を充分に噛まないと、胃や腸に負担がかかり、体に悪影響を与えます。

お口の中を快適環境に
よく噛むことで、唾液の分泌が促進され口の中の衛生状態を清潔に保ち、抗菌効果を促します。むし歯・ドライマウス・歯周病の予防効果があります。

肥満を防ぐ
時間をかけてゆっくり噛むことで、満腹中枢が刺激され、食欲を抑える効果や肥満対策に役立ちます。

からだ全体にもいいことが!
「がん予防・アンチエイジング」
よく噛むと、唾液に含まれるペルオキシターゼ酵素が、発がん性物質を抑えます。また、種々の他の酵素が老化防止に役立ちます。

「ストレス軽減効果」
噛むというリズミカルな運動は、楽しい食事とリラックスした時間を提供し、日頃のストレスの軽減につながります。

歯を失うことで体にも影響が!

認知症リスクがアップ
歯の減少が脳の働きに影響し、残存歯が少ない人ほど脳の働きが悪く、噛み合わせや咀嚼の良い人と比べるとアルツハイマーや認知症の発症率は1.5 倍とリスクが高くなります。

顔をゆがめるだけでなく、体もゆがめます
長年、片方の歯ばかりで噛んでいると、使っている方(噛み癖のある方)の歯だけがすり減るので、上下左右の顎のバランスが崩れ、噛み合わせが悪くなります。また、咀嚼筋にも同様のことが起こり、使っていない方の筋肉が衰えてきます。それは顔の表情にも影響し、片方だけにたるみや口角が上がらなくなる、シワやほうれい線もできやすくなる、など顔のゆがみにつながります。さらには、首や肩の痛みやコリ、頭痛などの原因や腰痛や関節痛なども起こします。また、顎関節にも影響し、顎関節症(口が開けにくい、顎の痛み等)になったりすることもあります。

歯を減らさずに免疫力アップや高血圧予防
歯の本数が減ることで、噛む回数が少なくなり、唾液の分泌が低下します。唾液は食物の消化を助けるだけでなく、外から入ってくる様々な菌から口腔内を守るという役割をしています。唾液に含まれる「ラクトフェリン」という成分は鉄分と結合して細菌の繁殖を抑制します。また、最近では歯の数が血圧に影響する可能性があることも分かってきました。
高血圧の主な原因として考えられるのは塩分過多、動脈硬化、ストレス、過労、肥満などです。50 代以上では、おおよそ半数以上の人が高血圧であるというデータもありますが、その原因が歯とも関係あるようです。歯は食べ物を噛むためだけで全身に悪影響を与えることはないだろうと思われがちですが、噛み合わせを矯正したところ、血圧が安定した方がいます。高血圧予防には歯の健康を考えることも必要と言えそうです。

脳機能 かむことで回復-旭医大などマウスで実証-

柔らかいものを食べ続けると脳の機能が低下するが、硬いものを食べればその機能は徐々に回復することを、旭川医科大などの研究班がマウスの嗅覚の実験で実証した。

よくかむ必要がある固形飼料だけを与え続けた「固形マウス」と、かむ必要がない粉末飼料だけを与え続けた「粉末マウス」の脳の内部や行動などを比較した。

実験開始から1カ月後、固形マウスの脳室下層や嗅球には新たに作られた神経細胞が多く見られたが、粉末マウスでは少なくて神経をつくる能力が低かった。においに対する脳の興奮度をみると、粉末マウスは固形マウスより小さく、鈍かった。嫌なにおいがする通路を避けるかどうかの実験では、固形マウスは避けたが、粉末マウスは避けることなく、におい自体を感じないとみられる行動を示した。

ところがその後、粉末マウスのえさを変えて、固形飼料だけを3カ月間食べさせると、脳で作られる神経細胞が徐々に増えた。においに対する脳の興奮度は回復し、嫌なにおいを避ける行動を見せるようになった。

柏柳誠教授(感覚生理学)は「咀嚼が嗅覚に影響することが明らかになった」と、松田光悦教授(歯科口腔外科学)は「自分の歯でかむことが、脳機能を含めた健康に重要なことを示す結果だ」とそれぞれ話す。

いい歯の人ほど認知症にならず、長生きできる
「歯が悪くなっても病気ではないし、治療すれば何とかなる」と安易に考えていませんか?ところが近年の研究では、歯がいい人ほど認知症になる確率が低く、長生きであるというデータが出ているのです。

福岡県の80 歳の男女を対象にした研究では、ものをかむ「咀嚼」能力の低い人が、寝たきりや要介護状態になるリスクは、よくかめる(咀嚼能力の高い)人のなんと7.5倍、死亡リスクも2倍という驚くべき結果が出ています。歯が抜けたり、きちんと合った義歯を入れず、かむことに不自由する人は、やわらかいもの(炭水化物)中心の偏った食生活になり、たんぱく質やビタミン、ミネラル類が不足することが指摘されています。

また、かむ能力は、運動能力や脳の血流とも深く関係しています。加えて、歯がない人は表情や会話が乏しくなりがちで、心理的にも自信や意欲を失いやすいといわれています。

このように、歯の健康は認知症や長寿と深くかかわっています。今からでも歯をきちんとケアして「80歳で20本以上の歯を残す」ことを目標にしましょう。

“よく噛む”ことと“脳のリハビリ効果”の関係

噛んで食べる「咀嚼の」大切さ

よく噛むことで脳が活性化される
私たちは日常生活の中で“ 歩くこと” や“ 呼吸すること” と同じ様に無意識のうちに「咀嚼」を行っています。しかし、食物を噛み砕いて唾液を混ぜて飲みやすくするという行為は下あごの動きや、唾液の分泌、舌をうまく使うなど、極めて複雑な運動の組み合わせで行われています。

よく噛むことによる刺激

脳の血流が増加する
よく噛んで食べると、脳の血流が増加することが分かっています。特に、脳の神経の中の満腹中枢、弧束核(味覚中枢)、海馬(記憶に関与)、扁桃体(嗅覚やストレスにかかわる)、室傍核(自律神経の中核)などが活性化します。
つまり、よく噛むことで肥満を防止でき、記憶力をよくし、ストレスが解消されて心が安定する効果が期待できます。

ひいては認知症を予防することに!
記憶の形成にかかわる脳の神経の一部である海馬は、誰でも加齢と共に委縮します。加齢と共に記憶力が低下するのは自然な現象ですが、海馬の神経細胞は鍛えれば増加することが分かってきています。噛むことで脳への血流が増して、大脳辺縁系や海馬が活性化されることが分かっており、噛むことが認知症予防につながります。

つまり、よく噛むことで「脳のリハビリテーション効果」が期待できます。また、高齢者では寝たきり状態にならない予防効果があります。

80歳でも20本残すために!!

ずっと自分の歯で食べられるという事は理想です。長年使用してきた歯がダメージを受けるのは仕方がないことかもしれません。しかし日頃の維持管理を怠らなければ、歯を残すことは可能です。

歯の維持は長生きのもと!介護を受けずに居られる健康寿命の“要(かなめ)”です。

日本人の残存歯数
日本は世界の中でも長寿国の一つです。ところが、70歳で平均残存歯数は約11本、80歳で約4本なので、義歯(入れ歯)の助けが必要となってきます。必要となってきます。

摩耗(すり減り)
長年、歯を使っているので、当然歯は徐々に減ってきます。その度合いは人それぞれですが、食べカスがはさまったり、しみることがあります。

歯根の露出
加齢によって歯肉が下がり、歯の根元が露出しがちです。根元は柔らかいセメント質なので、むし歯になったり欠けたりしやすくなります。

エナメル質・象牙質
一般的に硬くなってきます。弾力がなくなってくるので、割れたり欠けたりしがちです。特に詰め物の周囲の歯や露出した歯根に見られます。

唾液も重要、気をつけてメンテナンスしよう!

高齢になると唾液が減る傾向があります。唾液にはお口の中をきれいにするなどの重要な役目があります。また、唾液が少なくなると細菌に感染しやすくなるので、意識してうがいをしたり、唾液腺のマッサージをして分泌を促進させましょう。

こんなにすごい 唾液の効能 ベスト5

会津の歯医者 渡辺ゆうぞう歯科クリニックの「お口の相談室」

201607

あなたのお口や体の中で唾液はどのようなパワーを発揮しているのでしょう?
その代表的な効能をご紹介します。

1.天然のやせ薬

満足感をしっかり感じ、食べすぎない
運動も食事制限もしないでやせられる夢のようなやせ薬が唾液です。唾液をしっかり出すように食事をするということは、「しっかり噛む」「ゆっくり楽しみながら食べる」「正しい姿勢で食べる」ということ。これができれば、血糖値が早く上がって満腹感を得やすくなり、食べすぎを防ぐことができます。

2.天然の口臭予防薬

唾液に豊富に含まれる酸素がニオイ菌を撃退
お口の中でニオイを起こす細菌は、酸素が大嫌い。なぜなら、酸素の少ない環境でこそ活発に活動できるからです。酸素の少ない環境とは、ズバリ口の中が乾燥した状態。口の中が乾燥すると、細菌は「揮発性硫黄化合物」というニオイ物質を作り始めます。だから唾液で口を潤すことが、口臭予防には効果的なのです。

3.天然の液体歯磨き粉

虫歯も歯周病も「唾液磨き」で防げる
唾液には「虫歯予防効果」「歯周病予防効果」「口臭予防効果」があり、飲み込んでも無害。歯ブラシに何もつけない空磨きで、歯は十分きれいになります。すでに虫歯が多い人は、虫歯予防効果のある歯磨き粉、歯周病の人は、歯周病の原因菌を減らす歯磨き粉がおすすめですが、そうでなければ唾液磨きで十分です。

4.天然のアンチエイジング剤

唾液中の成長ホルモンは若返りの秘薬
唾液中には骨や内臓、筋肉などの生育を助けるホルモンや、体の内外を問わず、傷ついた皮膚を修復して新陳代謝を促すホルモン、さらに脳を活性化して若返らせるホルモンなどが含まれています。つまり、唾液は筋肉も骨も脳も若返らせる、アンチエイジング剤なのです。

5.天然の認知症予防薬

衰えた脳神経の機能を修復する働きも
脳細胞を鍛えるには、「しっかり噛んで食べる」「表情筋をよく使う」ことが有効です。つまり、しっかり唾液を出す生活を心がけることが、そのまま認知症予防につながるのです。さらに、唾液中に含まれる神経成長因子が、粘膜の傷を治すことから、衰えた脳神経の機能を修復する働きも期待されています。

筋肉のゆがみがリハビリできる【ベロ回し体操】だ液も出ます

会津の歯医者 渡辺ゆうぞう歯科クリニックの「お口の相談室」

201606

噛み合わせの悪さがさまざまなトラブルを招く

噛み合わせが悪いと、きちんとものを噛むことができません。きちんと噛めない、食べられないのはとても困った状態ですから、私たちの体は勝手に上下の歯がきちんと当たるように姿勢を工夫、調整してしまいます。

上下の歯が適切に噛み合っていないまま、咀嚼を繰り返していると、やがてあごの関節がずれてきます。たとえば「口をパクパクと開閉すると、あごの関節や筋肉が痛い」、「口がまっすぐ開かない」などの自覚症状があるときは、あごの関節がずれている心配があります。

あごの関節がずれていると、きちんと噛めないだけではなく、夜もよく眠れず、昼間は、頭がボーッとしてきます。

加齢に伴って、誰にでも現われてくる噛み合わせのズレを予防する方法として、【ベロ回し体操】があります。

【ベロ回し体操】は口の中、ほっぺた、口唇、のど、首、あご、頭についている筋肉58種のリハビリが同時に行える運動。表面の筋肉ばかりか、インナーマッスルをも鍛える効果があります。【ベロ回し体操】を習慣にすると、噛み合わせのズレはもちろん、顔のゆがみ、首や肩のこり、頭痛を予防することもできます。

【ベロ回し体操】は唾液を分泌する3つの唾液腺(耳下腺、舌下腺、顎下腺)を刺激し、口の中の乾燥も予防できます。いびき、無呼吸症候群、誤嚥の改善効果、自律神経を整え、血液やリンパの流れをよくして免疫力を高める効果もあります。

(参考資料「デンタルプロ」より)

口腔の老化と唾液

会津の歯医者 渡辺ゆうぞう歯科クリニックの「お口の相談室」

201605

口をぽかんとあけて、口で呼吸をしている若い人も増えています。

歯磨きの大切さは良く言われますが、口の中の環境を守るために非常に大事なものは「唾液」です。普段は気にもしない唾液ですが、なくなると口の中がカラカラになって、話す事も食べる事もできません。舌は荒れ、虫歯は進行し、歯周病や口臭も悪化します。

唾液は1日に平均1~1.5リットルも出ます。99.5%が水分で、ナトリウムやマグネシウム、カルシウム、タンパク質、ビタミン、ホルモンなど、さまざまな成分が含まれています。

唾液を出す一番の刺激は良くかむ事。老化で唾液の量が減るため、ゆっくりと良くかむ事が大事になります。かむ刺激で口の中に唾液があふれ、唾液中のアミラーゼがでんぷんを消化し、かむほどに食物と唾液との接触が増えて、消化も良くなり歯茎も鍛えられて脳への刺激にもなります。

さらに、唾液の役割には味物質を溶かして味覚を生じさせる溶解作用、食べ物のカスを洗い流す洗浄作用、ラクトフェリン、リゾチームなどにより細菌の増加を抑える抗菌作用、重炭酸塩やリン酸塩により酸を中和する緩衝作用、歯の表面に皮膜をつくり虫歯を防ぐ保護作用、嚥下や発音を円滑にする潤滑作用や粘膜の保護作用などがあります。

唾液にはサラサラ唾液とネバネバ唾液があり、リラックスしている時には自律神経の副交感神経が働き、唾液は活発に分泌されてのどや食道を潤し、サラサラと自然に胃の中に流れます。逆に体にストレスがかかると、のどをなかなか流れていかないネバネバ唾液になってしまいます。サラサラ唾液を多くするには良くかむ事が大事で、唾液線のマッサージや自律神経を調整するウォーキング、ジョギング、水泳、呼吸法なども効果があります。

口の健康を守る唾液ケア

唾液は、主に耳下腺、顎下腺、舌下腺の3ヵ所から出ていますが、加齢とともに顎下腺からの分泌量が減少します。

舌を回したり、唾液腺の付近を外からマッサージすることによって、唾液腺が刺激されて、唾液が出やすくなります。口が乾いていると感じたら、ぜひ実行してください。

―次号へつづく―

免疫力を上げて病気を治す 口の体操「あいうべ」

会津の歯医者 渡辺ゆうぞう歯科クリニックの「お口の相談室」

201604

最近、口の中の汚れや炎症が、肺炎や心筋梗塞、認知症など、全身の病気に影響していることがわかってきました。

口で呼吸すると、口の中の水分が空気中に蒸発し、乾燥します。唾液による殺菌・消毒作業が発揮されず、細菌が繁殖しやすくなり、虫歯や歯周病、口臭などが起こりやすくなります。

口や舌の筋肉が衰えると口呼吸になります。口を閉じた状態で舌がどこにあるか確かめてみてください。正しい舌の位置は、上あごに舌がべったりくっついている状態です。舌がこの位置にあると、口は自然に閉じ、安静時は鼻呼吸ができるようになっています。

口呼吸の問題は、乾燥による細菌の繁殖だけではありません。

空気中には、ホコリや細菌、ウイルス、花粉など、さまざまな異物や病原菌が混じっています。たとえそれらを吸い込んだとしても、鼻で呼吸をしていれば、鼻粘膜の表面に生えている鼻毛や、鼻粘膜から分泌される粘液がからめ取ってくれます。

鼻から吸い込んだ空気は、鼻の中を通ることで、温かく湿った状態で肺へと送られるしくみになっています。いわば、鼻は「加湿機能つきの空気清浄機」です。

口呼吸の場合は冷たく乾燥した空気をいきなり吸い込むことになり、のどや気管を痛めるおそれがあるでしょう。異物や病原菌の混じった空気を直接吸い込むことで、ウイルスが体内に入り込むと、カゼやインフルエンザにかかりやすくなります。

鼻呼吸にすれば、肺炎の予防にもつながります。なかでも、高齢者や入院患者の死亡に結びつくといわれる誤嚥性肺炎は、食物を食堂にスムーズに送り込む嚥下反射や、異物が気道に入るのを防ぐ咳反射の機能が低下し、食物や異物、細菌などが気道に入って起こる肺炎です。この誤嚥性肺炎も、舌の筋力の衰えが大きく影響しているので、鼻呼吸ができるようにすることで予防できます。

鼻呼吸の場合、口のように一気に空気を吸い込めないので、しっかり吸おうと、横隔膜を使って深くゆっくりと呼吸することになります。その結果、酸素の取り込み量は、鼻呼吸のほうが多くなるのです。

鼻呼吸をすると、鼻粘膜から一酸化窒素(NO)が出ることもわかっています。NOは、血管や気管支を広げる作用があります。全身に血液と酸素をしっかり行き渡らせます。

■ 口呼吸を鼻呼吸に変えるために、口の体操「あいうべ」をしましょう。

「あいうべ」を行うと、舌や口の周囲の筋肉が鍛えられ、口呼吸をしなくなります。すると、口の中が潤い、自律神経のバランスが整います。その結果、免疫力が上がって、病気の改善・予防につながるのです。実際、さまざまな病気や症状が、「あいうべ」で改善しています。

「あいうべ」は、いつ、どこでやってもかまいませんが、特にお勧めは入浴時です。温かい浴室なら、「あいうべ」で口を大きく開けても、冷えたり乾燥したりする心配がありません。

「あ」「い」「う」という口の動きは、口輪筋や表情筋を鍛えるのに役立ち、唇をとがらせて前に突き出す「う」の動きは、口を閉じる力をつけるのに有効です。そして、「べー」と舌を出すことで舌筋が鍛えられます。舌を正しい位置に引き上げるために、舌筋を鍛えることは最も重要といえます。

口腔粘膜ケア「入れ歯を支える粘膜を健康に保つ」口腔がんを予防する効果も

会津の歯医者 渡辺ゆうぞう歯科クリニックの「お口の相談室」

201602

入れ歯は口腔粘膜の支えがあってはじめて機能する

通常、咀嚼時に歯にかかる力は、歯根膜が受け止めて歯槽骨に伝え、体全体に分散させています。入れ歯(有床義歯)は、この力を、歯がなくなった部分の口腔粘膜と歯槽骨に肩代わりさせています。

口腔粘膜は、口唇、舌、歯肉(歯茎)、頬、口腔底(舌の下側の部分)の5ヵ所(図表1)に分類されます。薄く脆弱に見えますが、表面部分の細胞の重なりは皮膚の表皮より厚い、軟らかく丈夫な組織です。なかでも、歯肉粘膜は強靭で、時には体重に匹敵するかみ合わせの力に耐えて、歯根膜の代替機能を果たします。

入れ歯を快適に使うためには、それを支える口腔粘膜を健康に保つことが大切です。皮膚と同様に、加齢によって口腔粘膜も委縮し、弾力を失います。また、唾液の分泌も少なくなり、免疫機能も低下するため、粘膜は傷つきやすく、傷が治りにくくなっています。そういう状態の粘膜に、かみ合わせの力を負担させるわけですから、ぜひ口腔粘膜ケアにも気を配ってください。

口腔粘膜ケアのポイント

❶使い始める前に十分な咬合調整を
入れ歯を装着して、痛みがなく、効率よくかめる状態にもっていくことを、咬合調整といいます。咬合調整が十分でないと、かみ合わせの力が偏ってしまい、粘膜が圧迫されます。圧迫によって、血液の循環が滞ると、粘膜細胞が壊れて、皮膚の「床ずれ」と同じ傷ができます。粘膜の傷は、痛いだけでなく、後述する長引く炎症(口腔粘膜炎)のきっかけになることもあります。入れ歯は、歯科医師による十分な咬合調整を受けてから使用してください。

❷合わない入れ歯を使い続けない
歯根膜が受けるかみ合わせの力(力学的負荷)により、骨リモデリング(吸収と形成)がおこり、骨量が保たれるので、歯があるときは、顎の骨の形はあまり変わりません。
歯を失い、骨に力学的負荷が十分かからなくなり、また入れ歯による部分的な圧力が加わると、顎の骨の形は毎日少しずつ変化します。

加齢に伴って体はどんどん変化し、顎の骨と共に口腔粘膜の形と性質も変化しますので、使っているうちに、入れ歯は必ず合わなくなるものです。
合わなくなった入れ歯を無理して使い続けると口腔粘膜に傷を作ることになりますので、早め早めに調整を受けましょう。

❸歯磨きで粘膜炎予防
食事の後、そのまま放置すると、入れ歯や口の中で細菌が繁殖し、口腔粘膜炎(口腔炎など)を起こすことになります。粘膜炎になると、痛いため、バランスをこわすようなかみ方をするようになり、さらに粘膜炎を作る悪循環に陥りかねません。
食後の歯磨きには、ブラシで歯肉粘膜を刺激して血液循環をよくする効果もあります。
粘膜炎は口と入れ歯を清潔にして安静にしていれば、自浄作用で治癒します。

❹就寝中は入れ歯を外す
口腔粘膜を休ませ、血流を回復させるために。

入れ歯と口腔がんとの関係

口腔がんは、かみタバコなど、刺激物を長い間口に入れる習慣がある南アジアや中東などで多発しています。これらの状況から、口腔がんは、食習慣を中心とした生活習慣と劣悪な口腔衛星状態を背景に発症すると推測されています。日本では患者数は少ないのですが、増加傾向にあり、最近では年間約7000人が死亡しています。発症の中心は高齢期のため、今後増える恐れがあります。特に、入れ歯をお使いの方に注意していただきたいがんです。

口腔がん予防のポイント

どんながんも、前がん病変(まだがんではない段階の病態)から徐々に進行して、完全ながんに発育していきます。

口腔がんの前がん病変の代表的なものは「白板症」です。口腔粘膜が部分的に白くなる病気で、将来がんになる可能性がありますし、その一部にすでにがんが生じている可能性もある病変です(口内炎とは違って、白板症まで進行すると痛みがない)。

白板症以外にも、さまざまな前がん病変がありますが、それらに共通するのは「持続する炎症症状(痛かったり赤くなるなど)」や「治りにくい傷」です。
がん治療の原則は、早期発見・早期治療。口腔がんを早期に治療した場合の治癒率は、格段によくなることが知られています。症状が長期間続くときは、医師または歯科医師の診断を受けてください。

口腔がん予防のポイントは、喫煙と過度の飲酒を避けることと、粘膜の炎症を防ぐこと。
口腔ケアの4つのポイントが、口腔がんの予防にもなります。

お口の中が健康な人ほど病気になりにくく、長生きできます

会津の歯医者 渡辺ゆうぞう歯科クリニックの「お口の相談室」

201601

健康寿命は口腔から

お口の中の健康は、単にものを食べるといった働きを越えて、全身の健康状態や寿命に大きな影響を及ぼしているという確信が、歯科医のあいだで広まりつつあります。

口の中が健康な人、すなわち自分の歯が残っているか、ちゃんと歯の治療をしていて、食べ物をしっかり噛める人は、寝たきりや要介護、認知症などになりにくく、費やす医療費も安くすむことがさまざまな研究から示されています。

歯周病や虫歯の原因菌と、糖尿病や心筋梗塞などほかの疾患との関連も明らかになっています。いつまでも元気で長生きという〝健康寿命〞を延ばすには、口の中の健康を保つことがとても重要なのです。

また、よく噛んで食べると満腹感を得やすく、ダイエット効果があることは一般に知られていますが、しっかり噛むことは骨や肌のアンチエイヂングにも役立つと考えられます。噛む刺激が歯やあごの骨芽細胞(骨形成を行う細胞)に伝わると、健康寿命は口腔からカルシウムやリンなど骨の材料が増え、骨が強くなると同時に、噛む刺激によって線維芽細胞(真皮の成分を作り出す細胞)が活性化され、顔全体の肌や粘膜のコラーゲンが増すことがわかってきました。口の中が健康でしっかり噛んでいれば、見た目や全身の若々しさもいつまでもキープできます。

のみこみ力UP体操「口の老化を防ぐ」が勝ち

会津の歯医者 渡辺ゆうぞう歯科クリニックの「お口の相談室」

201508-1

食べ物がいつまでも口の中に残っている」「就寝中にむせて目が覚めることがある」。これらの問いに「イエス」ならば、のみこむ力が落ちているかもしれません。

のみこみをスムーズに行うためには、のどの動きだけでなく、口やそのまわりの筋肉の機能が重要な役割を果たしています。これらはいずれも、年齢を重ねるにつれて衰えが現れるものばかり。放っておくと、いずれ低下するおそれがあります。

そこで、機能の低下に歯止めをかけ、本来の力を回復させる体操を紹介します。

体操は、いずれも簡単で道具がいらないものばかり。毎日短時間、継続して行うことで、さまざまな口の機能アップ効果が期待できる運動です。「顔面体操」「口開け体操」「ベロ出しゴックン体操」「頭上げ体操」に取り組みましょう。