虫歯のメカニズム バイオフィルムとは?

会津の歯医者 渡辺ゆうぞう歯科クリニックの「お口の相談室」

201609

歯の表面は常に唾液でおおわれています。そして唾液が歯の表面のエナメル質にふれているかぎり虫歯にはなりません。唾液には、さまざまな作用がありますが、その一つが清浄作用です。口の中の細菌や食べもののかすを洗い流してくれるのです。

ところが、ミュータンス菌が口の中にいると、砂糖という「えさ」を得て、唾液をさえぎる膜のようなものを歯の表面に作ってしまいます。この膜を「バイオフィルム」といいます。

歯の表面にバイオフィルムができてしまうと、歯のエナメル質が唾液にふれることができなくなり、唾液による清浄作用がきかなくなります。そのため、バイオフィルムで守られた内側は細菌が繁殖しやすい環境になります。

ミュータンス菌は、バイオフィルムの中で、食べものなどから糖分を吸収して、自分が生きていくためのエネルギーを作り出します。この過程を「発酵」といい、糖は最終的に乳酸や酢酸、エタノールにまで分解され、外に放出されます。ところがバイオフィルムが育ってくると、できた酸(最も多いのは乳酸)は外に放出されずに、バイオフィルムの中に残り、歯のエナメル質を溶かしはじめます。

エナメル質の破壊は狭い範囲で深く進みますが、比較的柔らかくおかされやすい象牙質にまで達すると奥に広い穴が作られれるようになります。こうして虫歯の穴が大きくなると、熱いものや冷たいもの、甘いもの、すっぱいものの刺激によって歯髄(歯の中心にある神経の集まっている部分)が充血し痛みを伴うようになります。

さらに象牙質にある象牙細管を通って歯髄に細菌が感染し、炎症を起こすと歯髄炎になります。この段階になると、今まで一時的に歯がしみたり、食べものがはさまると痛みを感じていたのが、突如猛烈に痛み出し、まわりの歯がすべて悪くなったように感じられたりします。

歯磨きと唾液ケアで むし歯予防

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201608

お茶や水で食べ物を流し込まない

今の日本では、レストランで必ず水やお茶が出てきて、水分と一緒に食事をとることが当たり前のようになっています。しかし、かつての日本の食事では、よく噛んで唾液をしっかり出し、唾液と一緒に食べ物を飲み込んでいました。よく噛まずに、水やお茶で流し込む習慣は意識してやめるようにしましょう。

食材を工夫して噛む回数を増やす

唾液を出しためには、口の周りの筋肉が発達していることが大切です。
その筋肉を発達させるのが、簡単に飲み込める状態にならない、噛みごたえのある食材です。左に紹介する食材をふだんの食材に取り入れてください。また同じ食材でも、煮込みすぎない、細かく切りすぎないなど調理法を工夫することも大切です。

前歯をしっかり使って食べる

食事は、床に足をつけ、正しい姿勢で食べましょう。なぜなら、姿勢が悪いと重心が傾き、前歯と奥歯を使って噛めなくなるからです。姿勢が悪い人や奥歯だけで噛む癖のある人は、前歯を使わないため、唾液が出にくくなります。両足を床にしっかりつけ、正しい姿勢で、前歯を使って食べることを心がけてください。

歯の根元部分に出来やすいむし歯

加齢や歯周病などによる歯肉の退縮。歯茎が下がると、それまで、歯肉に守られてきた歯の根元部分がむき出しになります。
歯の根元部分は、歯冠部のエナメル質に比べて軟らかい構造で、歯の根元部分がむし歯(歯根面う蝕)になりやすいのです。

こんなにすごい 唾液の効能 ベスト5

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201607

あなたのお口や体の中で唾液はどのようなパワーを発揮しているのでしょう?
その代表的な効能をご紹介します。

1.天然のやせ薬

満足感をしっかり感じ、食べすぎない
運動も食事制限もしないでやせられる夢のようなやせ薬が唾液です。唾液をしっかり出すように食事をするということは、「しっかり噛む」「ゆっくり楽しみながら食べる」「正しい姿勢で食べる」ということ。これができれば、血糖値が早く上がって満腹感を得やすくなり、食べすぎを防ぐことができます。

2.天然の口臭予防薬

唾液に豊富に含まれる酸素がニオイ菌を撃退
お口の中でニオイを起こす細菌は、酸素が大嫌い。なぜなら、酸素の少ない環境でこそ活発に活動できるからです。酸素の少ない環境とは、ズバリ口の中が乾燥した状態。口の中が乾燥すると、細菌は「揮発性硫黄化合物」というニオイ物質を作り始めます。だから唾液で口を潤すことが、口臭予防には効果的なのです。

3.天然の液体歯磨き粉

虫歯も歯周病も「唾液磨き」で防げる
唾液には「虫歯予防効果」「歯周病予防効果」「口臭予防効果」があり、飲み込んでも無害。歯ブラシに何もつけない空磨きで、歯は十分きれいになります。すでに虫歯が多い人は、虫歯予防効果のある歯磨き粉、歯周病の人は、歯周病の原因菌を減らす歯磨き粉がおすすめですが、そうでなければ唾液磨きで十分です。

4.天然のアンチエイジング剤

唾液中の成長ホルモンは若返りの秘薬
唾液中には骨や内臓、筋肉などの生育を助けるホルモンや、体の内外を問わず、傷ついた皮膚を修復して新陳代謝を促すホルモン、さらに脳を活性化して若返らせるホルモンなどが含まれています。つまり、唾液は筋肉も骨も脳も若返らせる、アンチエイジング剤なのです。

5.天然の認知症予防薬

衰えた脳神経の機能を修復する働きも
脳細胞を鍛えるには、「しっかり噛んで食べる」「表情筋をよく使う」ことが有効です。つまり、しっかり唾液を出す生活を心がけることが、そのまま認知症予防につながるのです。さらに、唾液中に含まれる神経成長因子が、粘膜の傷を治すことから、衰えた脳神経の機能を修復する働きも期待されています。

筋肉のゆがみがリハビリできる【ベロ回し体操】だ液も出ます

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201606

噛み合わせの悪さがさまざまなトラブルを招く

噛み合わせが悪いと、きちんとものを噛むことができません。きちんと噛めない、食べられないのはとても困った状態ですから、私たちの体は勝手に上下の歯がきちんと当たるように姿勢を工夫、調整してしまいます。

上下の歯が適切に噛み合っていないまま、咀嚼を繰り返していると、やがてあごの関節がずれてきます。たとえば「口をパクパクと開閉すると、あごの関節や筋肉が痛い」、「口がまっすぐ開かない」などの自覚症状があるときは、あごの関節がずれている心配があります。

あごの関節がずれていると、きちんと噛めないだけではなく、夜もよく眠れず、昼間は、頭がボーッとしてきます。

加齢に伴って、誰にでも現われてくる噛み合わせのズレを予防する方法として、【ベロ回し体操】があります。

【ベロ回し体操】は口の中、ほっぺた、口唇、のど、首、あご、頭についている筋肉58種のリハビリが同時に行える運動。表面の筋肉ばかりか、インナーマッスルをも鍛える効果があります。【ベロ回し体操】を習慣にすると、噛み合わせのズレはもちろん、顔のゆがみ、首や肩のこり、頭痛を予防することもできます。

【ベロ回し体操】は唾液を分泌する3つの唾液腺(耳下腺、舌下腺、顎下腺)を刺激し、口の中の乾燥も予防できます。いびき、無呼吸症候群、誤嚥の改善効果、自律神経を整え、血液やリンパの流れをよくして免疫力を高める効果もあります。

(参考資料「デンタルプロ」より)

口腔の老化と唾液

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201605

口をぽかんとあけて、口で呼吸をしている若い人も増えています。

歯磨きの大切さは良く言われますが、口の中の環境を守るために非常に大事なものは「唾液」です。普段は気にもしない唾液ですが、なくなると口の中がカラカラになって、話す事も食べる事もできません。舌は荒れ、虫歯は進行し、歯周病や口臭も悪化します。

唾液は1日に平均1~1.5リットルも出ます。99.5%が水分で、ナトリウムやマグネシウム、カルシウム、タンパク質、ビタミン、ホルモンなど、さまざまな成分が含まれています。

唾液を出す一番の刺激は良くかむ事。老化で唾液の量が減るため、ゆっくりと良くかむ事が大事になります。かむ刺激で口の中に唾液があふれ、唾液中のアミラーゼがでんぷんを消化し、かむほどに食物と唾液との接触が増えて、消化も良くなり歯茎も鍛えられて脳への刺激にもなります。

さらに、唾液の役割には味物質を溶かして味覚を生じさせる溶解作用、食べ物のカスを洗い流す洗浄作用、ラクトフェリン、リゾチームなどにより細菌の増加を抑える抗菌作用、重炭酸塩やリン酸塩により酸を中和する緩衝作用、歯の表面に皮膜をつくり虫歯を防ぐ保護作用、嚥下や発音を円滑にする潤滑作用や粘膜の保護作用などがあります。

唾液にはサラサラ唾液とネバネバ唾液があり、リラックスしている時には自律神経の副交感神経が働き、唾液は活発に分泌されてのどや食道を潤し、サラサラと自然に胃の中に流れます。逆に体にストレスがかかると、のどをなかなか流れていかないネバネバ唾液になってしまいます。サラサラ唾液を多くするには良くかむ事が大事で、唾液線のマッサージや自律神経を調整するウォーキング、ジョギング、水泳、呼吸法なども効果があります。

口の健康を守る唾液ケア

唾液は、主に耳下腺、顎下腺、舌下腺の3ヵ所から出ていますが、加齢とともに顎下腺からの分泌量が減少します。

舌を回したり、唾液腺の付近を外からマッサージすることによって、唾液腺が刺激されて、唾液が出やすくなります。口が乾いていると感じたら、ぜひ実行してください。

―次号へつづく―

免疫力を上げて病気を治す 口の体操「あいうべ」

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201604

最近、口の中の汚れや炎症が、肺炎や心筋梗塞、認知症など、全身の病気に影響していることがわかってきました。

口で呼吸すると、口の中の水分が空気中に蒸発し、乾燥します。唾液による殺菌・消毒作業が発揮されず、細菌が繁殖しやすくなり、虫歯や歯周病、口臭などが起こりやすくなります。

口や舌の筋肉が衰えると口呼吸になります。口を閉じた状態で舌がどこにあるか確かめてみてください。正しい舌の位置は、上あごに舌がべったりくっついている状態です。舌がこの位置にあると、口は自然に閉じ、安静時は鼻呼吸ができるようになっています。

口呼吸の問題は、乾燥による細菌の繁殖だけではありません。

空気中には、ホコリや細菌、ウイルス、花粉など、さまざまな異物や病原菌が混じっています。たとえそれらを吸い込んだとしても、鼻で呼吸をしていれば、鼻粘膜の表面に生えている鼻毛や、鼻粘膜から分泌される粘液がからめ取ってくれます。

鼻から吸い込んだ空気は、鼻の中を通ることで、温かく湿った状態で肺へと送られるしくみになっています。いわば、鼻は「加湿機能つきの空気清浄機」です。

口呼吸の場合は冷たく乾燥した空気をいきなり吸い込むことになり、のどや気管を痛めるおそれがあるでしょう。異物や病原菌の混じった空気を直接吸い込むことで、ウイルスが体内に入り込むと、カゼやインフルエンザにかかりやすくなります。

鼻呼吸にすれば、肺炎の予防にもつながります。なかでも、高齢者や入院患者の死亡に結びつくといわれる誤嚥性肺炎は、食物を食堂にスムーズに送り込む嚥下反射や、異物が気道に入るのを防ぐ咳反射の機能が低下し、食物や異物、細菌などが気道に入って起こる肺炎です。この誤嚥性肺炎も、舌の筋力の衰えが大きく影響しているので、鼻呼吸ができるようにすることで予防できます。

鼻呼吸の場合、口のように一気に空気を吸い込めないので、しっかり吸おうと、横隔膜を使って深くゆっくりと呼吸することになります。その結果、酸素の取り込み量は、鼻呼吸のほうが多くなるのです。

鼻呼吸をすると、鼻粘膜から一酸化窒素(NO)が出ることもわかっています。NOは、血管や気管支を広げる作用があります。全身に血液と酸素をしっかり行き渡らせます。

■ 口呼吸を鼻呼吸に変えるために、口の体操「あいうべ」をしましょう。

「あいうべ」を行うと、舌や口の周囲の筋肉が鍛えられ、口呼吸をしなくなります。すると、口の中が潤い、自律神経のバランスが整います。その結果、免疫力が上がって、病気の改善・予防につながるのです。実際、さまざまな病気や症状が、「あいうべ」で改善しています。

「あいうべ」は、いつ、どこでやってもかまいませんが、特にお勧めは入浴時です。温かい浴室なら、「あいうべ」で口を大きく開けても、冷えたり乾燥したりする心配がありません。

「あ」「い」「う」という口の動きは、口輪筋や表情筋を鍛えるのに役立ち、唇をとがらせて前に突き出す「う」の動きは、口を閉じる力をつけるのに有効です。そして、「べー」と舌を出すことで舌筋が鍛えられます。舌を正しい位置に引き上げるために、舌筋を鍛えることは最も重要といえます。

「入れ歯の手入れ」入れ歯を長持ちさせ口の健康を守るために

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201603

■ 着脱時に無理な力がかからないように

入れ歯をつけるときは、部分入れ歯は、無理な力を加えず、指できちんと装着してください。歯でかんで、はめこむと、変形や破損の原因になります。

総入れ歯は、水でぬらしてからつけましょう。違和感が少なくなります。

入れ歯を外すときは、部分入れ歯は、土台の歯に指をあて、無理な力がかからないように外しましょう。

総入れ歯は、吸着効果で歯肉に密着しているので、まず、入れ歯の前歯部分を粘膜側に押し、奥歯の方を粘膜から浮かせるように空気を入れて、吸着効果を失わせると、外しやすくなります。取り出しにくいと感じたときは、口の周りの筋肉をマッサージします。

なお、総入れ歯は、前歯部分に圧が集中しやすい構造をしています。「前歯部分で食べ物をかみ切る」と、外れてしまうこともありますから、注意してください。

■ 入れ歯は外して3ステップで洗う

入れ歯は食器と同じです。食事の後は、必ず外して清掃します。入れ歯をつけたまま、歯磨きをしても汚れを取り去ることはできません。汚れやすく、使っているうちに、歯垢に似たデンチャープラーク(細菌や汚れのかたまり)がこびりつきます。食べかすを洗い流すだけでなく、デンチャープラークを取り除くことが大切です。

ブラシ洗浄

清掃中に、落として破損することがありますから、洗面器などに水を張り、その上で歯ブラシを使って流水の下で洗いましょう。石けんや食器洗い用の中性洗剤、義歯用歯磨き剤などを使い、流水ですすぎます。

一般の歯磨き剤は、研磨剤が入っているので、入れ歯を傷つける恐れがありますので、使わないでください。

熱湯につけるのは厳禁です。入れ歯の床部分が変形して使えなくなります。

つけおき洗い

デンチャープラークは、ブラシ洗浄だけでは落とせないので、食後のブラシ洗浄に加えて、つけおきタイプの入れ歯洗浄剤を併用してください。つけおき洗浄は、就寝中などに行いましょう。

「ブラシ洗い→入れ歯洗浄剤につけおく→ブラシ洗い」の3ステップを実行すると効果的です。

入れ歯洗浄剤にはいろいろな種類がありますので、担当医と相談して、使っている入れ歯に合うものを選んでください。

■ 気をつけたい「カンジダ菌」

口の中には、非常に多くの細菌が生息しています。そのほとんどは、無害ですが、床のある入れ歯を使い始めると、細菌群の構成が変わり、真菌の一種であるカンジダ菌が増殖することが知られています。

カンジダ菌は、カンジダ菌が原因で起きる口内炎(口腔カンジダ症)の原因になるだけでなく、むし歯との関係も報告されています。入れ歯が合わないと思っていたら、口腔カンジダ症だったというケースもあります。カンジダ菌に効果がある専用の洗浄剤(ピカ)がありますので、気になる方は、担当医に相談してください。

■ 寝るときは外して、水の中で保管

就寝時、入れ歯は外して、前述したように入れ歯洗浄剤を使って保管してください。入れ歯のプラスチック部分が乾燥すると変形の原因になります。

審美的な理由や残っている歯の保護などのため、入れ歯を外さないという方は意外と多いのですが、一日数時間は外して粘膜の安静に努めてください。

■ 非常時も考慮して置き場所を決める

間違って捨てたり、捨てられたりすることのないよう、入れ歯を外したら、乾燥しないように専用の入れ物で保管してください。

日本赤十字社は、災害時に「眼鏡、入れ歯、補聴器、杖」などの日常補装具を持ち出しやすくしておく工夫をすすめています。「入れ歯がなくて、配られたパンが食べられなかった」などの声もあります。入れ歯は、人から借りて使うことができません。非常時に持ち出せるよう、外した入れ歯は、置き場所を決めて保管しましょう。

口腔粘膜ケア「入れ歯を支える粘膜を健康に保つ」口腔がんを予防する効果も

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201602

入れ歯は口腔粘膜の支えがあってはじめて機能する

通常、咀嚼時に歯にかかる力は、歯根膜が受け止めて歯槽骨に伝え、体全体に分散させています。入れ歯(有床義歯)は、この力を、歯がなくなった部分の口腔粘膜と歯槽骨に肩代わりさせています。

口腔粘膜は、口唇、舌、歯肉(歯茎)、頬、口腔底(舌の下側の部分)の5ヵ所(図表1)に分類されます。薄く脆弱に見えますが、表面部分の細胞の重なりは皮膚の表皮より厚い、軟らかく丈夫な組織です。なかでも、歯肉粘膜は強靭で、時には体重に匹敵するかみ合わせの力に耐えて、歯根膜の代替機能を果たします。

入れ歯を快適に使うためには、それを支える口腔粘膜を健康に保つことが大切です。皮膚と同様に、加齢によって口腔粘膜も委縮し、弾力を失います。また、唾液の分泌も少なくなり、免疫機能も低下するため、粘膜は傷つきやすく、傷が治りにくくなっています。そういう状態の粘膜に、かみ合わせの力を負担させるわけですから、ぜひ口腔粘膜ケアにも気を配ってください。

口腔粘膜ケアのポイント

❶使い始める前に十分な咬合調整を
入れ歯を装着して、痛みがなく、効率よくかめる状態にもっていくことを、咬合調整といいます。咬合調整が十分でないと、かみ合わせの力が偏ってしまい、粘膜が圧迫されます。圧迫によって、血液の循環が滞ると、粘膜細胞が壊れて、皮膚の「床ずれ」と同じ傷ができます。粘膜の傷は、痛いだけでなく、後述する長引く炎症(口腔粘膜炎)のきっかけになることもあります。入れ歯は、歯科医師による十分な咬合調整を受けてから使用してください。

❷合わない入れ歯を使い続けない
歯根膜が受けるかみ合わせの力(力学的負荷)により、骨リモデリング(吸収と形成)がおこり、骨量が保たれるので、歯があるときは、顎の骨の形はあまり変わりません。
歯を失い、骨に力学的負荷が十分かからなくなり、また入れ歯による部分的な圧力が加わると、顎の骨の形は毎日少しずつ変化します。

加齢に伴って体はどんどん変化し、顎の骨と共に口腔粘膜の形と性質も変化しますので、使っているうちに、入れ歯は必ず合わなくなるものです。
合わなくなった入れ歯を無理して使い続けると口腔粘膜に傷を作ることになりますので、早め早めに調整を受けましょう。

❸歯磨きで粘膜炎予防
食事の後、そのまま放置すると、入れ歯や口の中で細菌が繁殖し、口腔粘膜炎(口腔炎など)を起こすことになります。粘膜炎になると、痛いため、バランスをこわすようなかみ方をするようになり、さらに粘膜炎を作る悪循環に陥りかねません。
食後の歯磨きには、ブラシで歯肉粘膜を刺激して血液循環をよくする効果もあります。
粘膜炎は口と入れ歯を清潔にして安静にしていれば、自浄作用で治癒します。

❹就寝中は入れ歯を外す
口腔粘膜を休ませ、血流を回復させるために。

入れ歯と口腔がんとの関係

口腔がんは、かみタバコなど、刺激物を長い間口に入れる習慣がある南アジアや中東などで多発しています。これらの状況から、口腔がんは、食習慣を中心とした生活習慣と劣悪な口腔衛星状態を背景に発症すると推測されています。日本では患者数は少ないのですが、増加傾向にあり、最近では年間約7000人が死亡しています。発症の中心は高齢期のため、今後増える恐れがあります。特に、入れ歯をお使いの方に注意していただきたいがんです。

口腔がん予防のポイント

どんながんも、前がん病変(まだがんではない段階の病態)から徐々に進行して、完全ながんに発育していきます。

口腔がんの前がん病変の代表的なものは「白板症」です。口腔粘膜が部分的に白くなる病気で、将来がんになる可能性がありますし、その一部にすでにがんが生じている可能性もある病変です(口内炎とは違って、白板症まで進行すると痛みがない)。

白板症以外にも、さまざまな前がん病変がありますが、それらに共通するのは「持続する炎症症状(痛かったり赤くなるなど)」や「治りにくい傷」です。
がん治療の原則は、早期発見・早期治療。口腔がんを早期に治療した場合の治癒率は、格段によくなることが知られています。症状が長期間続くときは、医師または歯科医師の診断を受けてください。

口腔がん予防のポイントは、喫煙と過度の飲酒を避けることと、粘膜の炎症を防ぐこと。
口腔ケアの4つのポイントが、口腔がんの予防にもなります。

お口の中が健康な人ほど病気になりにくく、長生きできます

会津の歯医者 渡辺ゆうぞう歯科クリニックの「お口の相談室」

201601

健康寿命は口腔から

お口の中の健康は、単にものを食べるといった働きを越えて、全身の健康状態や寿命に大きな影響を及ぼしているという確信が、歯科医のあいだで広まりつつあります。

口の中が健康な人、すなわち自分の歯が残っているか、ちゃんと歯の治療をしていて、食べ物をしっかり噛める人は、寝たきりや要介護、認知症などになりにくく、費やす医療費も安くすむことがさまざまな研究から示されています。

歯周病や虫歯の原因菌と、糖尿病や心筋梗塞などほかの疾患との関連も明らかになっています。いつまでも元気で長生きという〝健康寿命〞を延ばすには、口の中の健康を保つことがとても重要なのです。

また、よく噛んで食べると満腹感を得やすく、ダイエット効果があることは一般に知られていますが、しっかり噛むことは骨や肌のアンチエイヂングにも役立つと考えられます。噛む刺激が歯やあごの骨芽細胞(骨形成を行う細胞)に伝わると、健康寿命は口腔からカルシウムやリンなど骨の材料が増え、骨が強くなると同時に、噛む刺激によって線維芽細胞(真皮の成分を作り出す細胞)が活性化され、顔全体の肌や粘膜のコラーゲンが増すことがわかってきました。口の中が健康でしっかり噛んでいれば、見た目や全身の若々しさもいつまでもキープできます。

毎日の習慣が10年後の噛む力を守ります!

会津の歯医者 渡辺ゆうぞう歯科クリニックの「お口の相談室」

201512

歯磨きは一カ所20 回以上!更年期以降、油断は禁物。自分の歯は自分で守るしかありません。
毎日の習慣が10年後の噛む力を守ります!

歯と口の健康を守るのは予防メンテナンス

歯や歯茎の状態は悪くなってから気づく人が多いのですが、それでは遅い。だからこそ予防ケアが大事なのです。

自分の口の中がどうなっているのか、きちんと把握したうえで、正しいセルフケアを行い、ヘアサロンに通う感覚でプロケアを受けましょう。

問診後、歯の色、潤い、噛み合わせ、唾液など、口中の状態を測定し、カウンセリング後、プロフェッショナルク歯と口の健康を守るのは予防メンテナンスリーニングとセルフケア処方を実施。予防ケアをサポートします。現在の状況だけでなく、これからの10年、20年にわたって、歯をどのようにメンテナンスしたらよいかを考えます。

40〜50代は中程度〜重度の歯周炎が増加する年代。歯に物が挟まりやすい、口臭がある、出血や腫れ、ねばつきなども、歯周病の症状だったりします。まず、自分の口中の状態を知ることから始めましょう。そのうえで、歯磨きの方法やツールの選び方などを理解し、正しい毎日のセルフケアを続けることで、歯と歯茎の状態の改善を目指します。

セルフケアの基本である歯磨きは、1カ所20回以上を目安に、丁寧に磨きます。また、歯ブラシだけでなく、デンタルフロスか歯間ブラシの使い方を正しく理解し、自分に合ったツールを選び続けます。

セルフチェックのみでは、気づかないうちに症状が進んでしまうことも多いのが口中のトラブル。少なくとも年に2〜3回は歯科検診を受けるようにしましょう。