予防歯科を実践して…噛む力UP!長寿と歯

201506

歯を残して機能させれば、寿命ものびる!?
永久歯は通常、親知らずを除くと28 本あります。このうち10 本を失うと、とたんに食べ物をかみくだく「そしゃく」効率が悪くなるといわれています。
国と日本歯科医師会は1989年から「80 歳になっても歯を20 本残す」ことを目標に掲げた「8020運動」を推進してきました。そのかいがあり、1999年には15.3%だった達成率が2011年には38.3%にまで向上しています。

歯が残っていると、自分の口で食事ができます。よくかんで味わって食べることができれば、食事が楽しくなり、家族や友達との会話も弾みます。気持ちが明るくなれば、生活全般によい影響を与えます。しっかりかむことで、消化器の負担も減らせます。
実際、歯の数と寿命には関係があるようで、残った歯の数が多いほど長寿の傾向があることが、大規模な観察研究によって報告されています(図参照)。
ところで、長生きでしっかりと歯が残っていても、高齢になると口の機能が衰えるため、別の問題が表面化してきます。

まず、口腔内の自浄作用が弱まって、虫歯菌や歯周病菌が殖えてきます。さらにのみこむ力が弱まると誤嚥しやすくなり、口腔内の菌が肺に入って肺炎を起こす危険性も増します。また、口の機能低下により摂取する栄養の低下はサルコペニア(加齢に伴う筋肉の衰え)悪化の要因にもなります。
健康寿命をのばすには、歯を残すだけでなく、口をしっかり機能させることが必要なのです。

※厚生労働省が1957年から6年ごとに実施している「歯科疾患実態調査」をもとに、80 歳における8020達成率を推定。

口の不健康は、全身の病へと発展する!?
「8020」の達成者は自立度が高く、要介護状態になりにくい傾向がみられます。歯が抜けてかみ合わせが悪いと、体のバランスが崩れて転倒しやすくなります。反対にいえば、歯がそろっていてかみ合わせがしっかりしている人は転倒・骨折のリスクが少ないのです。
虫歯や歯周病が糖尿病の悪化原因となったり、脳梗塞や心筋梗塞の引き金になるという考え方も出てきています。一方で歯の数が確保できれば、そしゃく力を維持できるため、認知症発症を抑制する可能性や唾液量が保てるので、誤嚥性肺炎の予防につながるなどの意見もあります。口の健康と全身の健康との関連性は、現在とても注目されているところなのです。