「入れ歯の手入れ」入れ歯を長持ちさせ口の健康を守るために

会津の歯医者 渡辺ゆうぞう歯科クリニックの「お口の相談室」

201603

■ 着脱時に無理な力がかからないように

入れ歯をつけるときは、部分入れ歯は、無理な力を加えず、指できちんと装着してください。歯でかんで、はめこむと、変形や破損の原因になります。

総入れ歯は、水でぬらしてからつけましょう。違和感が少なくなります。

入れ歯を外すときは、部分入れ歯は、土台の歯に指をあて、無理な力がかからないように外しましょう。

総入れ歯は、吸着効果で歯肉に密着しているので、まず、入れ歯の前歯部分を粘膜側に押し、奥歯の方を粘膜から浮かせるように空気を入れて、吸着効果を失わせると、外しやすくなります。取り出しにくいと感じたときは、口の周りの筋肉をマッサージします。

なお、総入れ歯は、前歯部分に圧が集中しやすい構造をしています。「前歯部分で食べ物をかみ切る」と、外れてしまうこともありますから、注意してください。

■ 入れ歯は外して3ステップで洗う

入れ歯は食器と同じです。食事の後は、必ず外して清掃します。入れ歯をつけたまま、歯磨きをしても汚れを取り去ることはできません。汚れやすく、使っているうちに、歯垢に似たデンチャープラーク(細菌や汚れのかたまり)がこびりつきます。食べかすを洗い流すだけでなく、デンチャープラークを取り除くことが大切です。

ブラシ洗浄

清掃中に、落として破損することがありますから、洗面器などに水を張り、その上で歯ブラシを使って流水の下で洗いましょう。石けんや食器洗い用の中性洗剤、義歯用歯磨き剤などを使い、流水ですすぎます。

一般の歯磨き剤は、研磨剤が入っているので、入れ歯を傷つける恐れがありますので、使わないでください。

熱湯につけるのは厳禁です。入れ歯の床部分が変形して使えなくなります。

つけおき洗い

デンチャープラークは、ブラシ洗浄だけでは落とせないので、食後のブラシ洗浄に加えて、つけおきタイプの入れ歯洗浄剤を併用してください。つけおき洗浄は、就寝中などに行いましょう。

「ブラシ洗い→入れ歯洗浄剤につけおく→ブラシ洗い」の3ステップを実行すると効果的です。

入れ歯洗浄剤にはいろいろな種類がありますので、担当医と相談して、使っている入れ歯に合うものを選んでください。

■ 気をつけたい「カンジダ菌」

口の中には、非常に多くの細菌が生息しています。そのほとんどは、無害ですが、床のある入れ歯を使い始めると、細菌群の構成が変わり、真菌の一種であるカンジダ菌が増殖することが知られています。

カンジダ菌は、カンジダ菌が原因で起きる口内炎(口腔カンジダ症)の原因になるだけでなく、むし歯との関係も報告されています。入れ歯が合わないと思っていたら、口腔カンジダ症だったというケースもあります。カンジダ菌に効果がある専用の洗浄剤(ピカ)がありますので、気になる方は、担当医に相談してください。

■ 寝るときは外して、水の中で保管

就寝時、入れ歯は外して、前述したように入れ歯洗浄剤を使って保管してください。入れ歯のプラスチック部分が乾燥すると変形の原因になります。

審美的な理由や残っている歯の保護などのため、入れ歯を外さないという方は意外と多いのですが、一日数時間は外して粘膜の安静に努めてください。

■ 非常時も考慮して置き場所を決める

間違って捨てたり、捨てられたりすることのないよう、入れ歯を外したら、乾燥しないように専用の入れ物で保管してください。

日本赤十字社は、災害時に「眼鏡、入れ歯、補聴器、杖」などの日常補装具を持ち出しやすくしておく工夫をすすめています。「入れ歯がなくて、配られたパンが食べられなかった」などの声もあります。入れ歯は、人から借りて使うことができません。非常時に持ち出せるよう、外した入れ歯は、置き場所を決めて保管しましょう。