免疫力を上げて病気を治す 口の体操「あいうべ」

会津の歯医者 渡辺ゆうぞう歯科クリニックの「お口の相談室」

201604

最近、口の中の汚れや炎症が、肺炎や心筋梗塞、認知症など、全身の病気に影響していることがわかってきました。

口で呼吸すると、口の中の水分が空気中に蒸発し、乾燥します。唾液による殺菌・消毒作業が発揮されず、細菌が繁殖しやすくなり、虫歯や歯周病、口臭などが起こりやすくなります。

口や舌の筋肉が衰えると口呼吸になります。口を閉じた状態で舌がどこにあるか確かめてみてください。正しい舌の位置は、上あごに舌がべったりくっついている状態です。舌がこの位置にあると、口は自然に閉じ、安静時は鼻呼吸ができるようになっています。

口呼吸の問題は、乾燥による細菌の繁殖だけではありません。

空気中には、ホコリや細菌、ウイルス、花粉など、さまざまな異物や病原菌が混じっています。たとえそれらを吸い込んだとしても、鼻で呼吸をしていれば、鼻粘膜の表面に生えている鼻毛や、鼻粘膜から分泌される粘液がからめ取ってくれます。

鼻から吸い込んだ空気は、鼻の中を通ることで、温かく湿った状態で肺へと送られるしくみになっています。いわば、鼻は「加湿機能つきの空気清浄機」です。

口呼吸の場合は冷たく乾燥した空気をいきなり吸い込むことになり、のどや気管を痛めるおそれがあるでしょう。異物や病原菌の混じった空気を直接吸い込むことで、ウイルスが体内に入り込むと、カゼやインフルエンザにかかりやすくなります。

鼻呼吸にすれば、肺炎の予防にもつながります。なかでも、高齢者や入院患者の死亡に結びつくといわれる誤嚥性肺炎は、食物を食堂にスムーズに送り込む嚥下反射や、異物が気道に入るのを防ぐ咳反射の機能が低下し、食物や異物、細菌などが気道に入って起こる肺炎です。この誤嚥性肺炎も、舌の筋力の衰えが大きく影響しているので、鼻呼吸ができるようにすることで予防できます。

鼻呼吸の場合、口のように一気に空気を吸い込めないので、しっかり吸おうと、横隔膜を使って深くゆっくりと呼吸することになります。その結果、酸素の取り込み量は、鼻呼吸のほうが多くなるのです。

鼻呼吸をすると、鼻粘膜から一酸化窒素(NO)が出ることもわかっています。NOは、血管や気管支を広げる作用があります。全身に血液と酸素をしっかり行き渡らせます。

■ 口呼吸を鼻呼吸に変えるために、口の体操「あいうべ」をしましょう。

「あいうべ」を行うと、舌や口の周囲の筋肉が鍛えられ、口呼吸をしなくなります。すると、口の中が潤い、自律神経のバランスが整います。その結果、免疫力が上がって、病気の改善・予防につながるのです。実際、さまざまな病気や症状が、「あいうべ」で改善しています。

「あいうべ」は、いつ、どこでやってもかまいませんが、特にお勧めは入浴時です。温かい浴室なら、「あいうべ」で口を大きく開けても、冷えたり乾燥したりする心配がありません。

「あ」「い」「う」という口の動きは、口輪筋や表情筋を鍛えるのに役立ち、唇をとがらせて前に突き出す「う」の動きは、口を閉じる力をつけるのに有効です。そして、「べー」と舌を出すことで舌筋が鍛えられます。舌を正しい位置に引き上げるために、舌筋を鍛えることは最も重要といえます。