脳機能 かむことで回復-旭医大などマウスで実証-

柔らかいものを食べ続けると脳の機能が低下するが、硬いものを食べればその機能は徐々に回復することを、旭川医科大などの研究班がマウスの嗅覚の実験で実証した。

よくかむ必要がある固形飼料だけを与え続けた「固形マウス」と、かむ必要がない粉末飼料だけを与え続けた「粉末マウス」の脳の内部や行動などを比較した。

実験開始から1カ月後、固形マウスの脳室下層や嗅球には新たに作られた神経細胞が多く見られたが、粉末マウスでは少なくて神経をつくる能力が低かった。においに対する脳の興奮度をみると、粉末マウスは固形マウスより小さく、鈍かった。嫌なにおいがする通路を避けるかどうかの実験では、固形マウスは避けたが、粉末マウスは避けることなく、におい自体を感じないとみられる行動を示した。

ところがその後、粉末マウスのえさを変えて、固形飼料だけを3カ月間食べさせると、脳で作られる神経細胞が徐々に増えた。においに対する脳の興奮度は回復し、嫌なにおいを避ける行動を見せるようになった。

柏柳誠教授(感覚生理学)は「咀嚼が嗅覚に影響することが明らかになった」と、松田光悦教授(歯科口腔外科学)は「自分の歯でかむことが、脳機能を含めた健康に重要なことを示す結果だ」とそれぞれ話す。

いい歯の人ほど認知症にならず、長生きできる
「歯が悪くなっても病気ではないし、治療すれば何とかなる」と安易に考えていませんか?ところが近年の研究では、歯がいい人ほど認知症になる確率が低く、長生きであるというデータが出ているのです。

福岡県の80 歳の男女を対象にした研究では、ものをかむ「咀嚼」能力の低い人が、寝たきりや要介護状態になるリスクは、よくかめる(咀嚼能力の高い)人のなんと7.5倍、死亡リスクも2倍という驚くべき結果が出ています。歯が抜けたり、きちんと合った義歯を入れず、かむことに不自由する人は、やわらかいもの(炭水化物)中心の偏った食生活になり、たんぱく質やビタミン、ミネラル類が不足することが指摘されています。

また、かむ能力は、運動能力や脳の血流とも深く関係しています。加えて、歯がない人は表情や会話が乏しくなりがちで、心理的にも自信や意欲を失いやすいといわれています。

このように、歯の健康は認知症や長寿と深くかかわっています。今からでも歯をきちんとケアして「80歳で20本以上の歯を残す」ことを目標にしましょう。